東京高等裁判所 昭和24年(新を)2890号 判決
被告人
大山誠一
主文
原判決を破棄する。
被告人を懲役弍年に処する。
押収に係る現金壱万円は被害者忍食料品商業協用組合に還付する。
訴訟費用は全部被告人の負担とする。
理由
前略。
第二点について。
所謂信用すべき情況の下に作成、又は供述され若しくはこれ等が任意に為されたかどうかは事実審である原審裁判官の自由なる心証に基いて、諸段の情況若しくは、証拠に照らし、取捨選択すべき職権行為であるから、この点について所論のように、必ずしも特段の証拠調べを為すの要はない。而して、所論被告人の上申書、及び井桁幸造作成の各上申書については、原審に於て斯る理由の下に事実認定の証拠として採用したものと推考することができるから、これ等を断罪の資料に供したからというて違法ではないから、この点に関する論旨を採用できない。
(註、法令の適用の誤りにて破棄自判)